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研究活動

父親の育児意識に関する研究(2)

―投影的アプローチによる父親の子育て態度測定の試み―

國枝俊弘((株)シタシオンジャパン) 寺西美恵子((財)幼児開発協会)
山下富美代(立正大学 文学部)

key words:乳幼児、育児態度、投影法

【研究の目的】

近年、父親の育児参加は育児雑誌やマスコミでもかなり取り上げられるようになったが父親が子育てへの参加に積極的に参加しているとは言い難い。
子育てに参加しない(できない)理由は、仕事の忙しさを理由にしているものから、父親本人もしくは夫婦の子育て観にいたるまで様々である。
日本心理学会第63回大会では、育児に関する通常の質問紙調査では、「『母親』は一般的、または理想的な答えを回答するため、必ずしも実態を正確に反映しているとは言い難い」という観点のもと、投影法的手法によって作成された質問紙から、より実態に即した母親の育児態度の測定を試みた。結果、この手法が母親の実態を把握するために有効であることが示唆された。
本研究では、同様の手法を用いて夫婦の役割意識を中心とした子育て意識の測定を試みた。

【方法】

調査期間

2000年11月7日~11月21日

調査方法

調査は首都圏在住の0~2歳の第一子を持つ父親300名(平均31.4歳)に対し、郵送による質問紙法で行った。

設問の構成

設問は 1)投影的手法を用いた項目、2)現在の育児への参加状況や育児観、夫婦の役割意識を中心とした段階評価、対比較などを用いた項目、から構成されている。1)投影的手法については前回の調査とPFスタディの形式に準じ、会話完成法による問題を作成した。ただし前回が女性同士の会話であったのに対して、本研究では夫婦の会話となっている(図1参照)。刺激文は、育児関与に関するもの(2問)、妻へのサポートに関するもの(2問)、父親の役割にについて(1問)の計5問で構成されている。

図1 設問形式と設問例

回答の分類

回答は、内容を基準に以下の4タイプに類型化した(表1参照)。(「父親の役割」についての類型化は別途行った。)類型化された各設問の回答の分布から重み付けを行い、その値を元に、回答と同様の4類型に回答者を分類した。

表1 類型化された各タイプ

結果と考察

「父親の役割について」は”夫婦が同じ役割”、”しつけ”、家族の精神的な支えといった”見守り” 家族を養っていくことといった”経済的なもの”に加え、「分からない」または無回答といった”回答拒否”の5つに分類された。4タイプ別直接的・積極的行動型、精神的サポート型の群は”しつけ”について述べたものが多く、無理解型は”経済的なもの”、間接的・消極的型は”回答拒否”の傾向が見られた。
他設問との関連性を比べてみると、休日・平日の過ごし方(時間)を聞いた設問では、直接的・積極的行動型は”父親1人で”、間接的・消極的型は”誰かと一緒に”子どもの相手をする時間が多い結果となっている。一方、無理解型は自分の好きなことをする時間が比較多い結果となった。また対比較による育児観・夫婦の役割意識に関してきいた設問でも4群の意識の差が見られ、本研究での父親の類型が有効であることが示唆された(表2参照)。

表2 父親タイプ別の育児観・役割意識

(KUNIEDA Toshihiro,TERANISHI Mieko,YAMASHITA Fumiyo)

(要約)
子育てにおける父親の役割意識を把握するために、父親に対して投影的手法による調査を実施した。結果、4タイプに類型化され、子供との接触時間や、夫婦の役割意識に関する他設問との関連性から、本研究による父親の類型化が有効であることが示唆された。

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