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研究活動

子育て意識・態度に及ぼす親子関係の影響について(2)

―母子の絆イメージを通してみた子育て意識と態度の変化―

國枝俊弘((株)シタシオンジャパン) 寺西美恵子((財)幼児開発協会)
山下富美代(立正大学 文学部)

key words:子育て,母子の絆,SD法

【研究の目的】

母親の子育てに、母親本人が持っている育児観が、大きく影響していると思われる。本研究では”母子の絆イメージ”に着目し、現在、子育てを行っている母親と、その母親のイメージの差、ならびに子育て態度、子育てにおける問題意識との関連性を、比較、検証した。

【方法】

調査期間

1999年6月23日~7月5日

調査方法

調査は、首都圏在住の0~2歳の第一子を持つ母親(以下、YM)300名、およびその実の母親(以下、GM)100名に対し、郵送による質問紙法で行った。

設問の構成

(1)27対の形容詞からなる5段階の尺度のSD法による「母子の絆」イメージ
(2)20対40項目の一対比較法による子育て態度
(3)29項目からなる4段階評定法による子育て問題意識

結果と考察
1)母子の絆イメージの比較

YM群、GM群のイメージプロフィールの比較では、2群間に顕著な差は見られなかったため、YM群、GM群総合のデータを用いて因子分析を行った。その結果、第1因子として「一生の」「受容的な」などの”持続性”、第2因子として「心地よい」「本能的な」などの”価値性”、第3因子として「はっきりした」「分かりきった」などの”存在性”、第4因子として「自由な」「楽な」などの”情緒性”、以上の4因子が抽出された。この結果に基づき、YM/GMの比較を行った。因子得点の比較では構造的に大きな差は見られなかったものの、存在性では、比較的、差が大きく、YMは、GMと比較して、母子の絆に対して「あいまい」「分かりにくい」と感じていることが明らかとなった。(図1参照)

図1 因子得点によるYM/GMの"親子の絆イメージ"比較

2)イメージ特性と子育て態度ならびに問題意識

各因子ごとに、高群/低群(上位,下位33%)を比較したところ、全体の傾向として、低群は、「子どもと一緒にいることが辛く感じる時がある」「子どものためよりも、自分自身のことを第一に考えたい」などで、高群よりも反応率が高く、問題意識では、低群は、高群よりも”問題ない”と回答する傾向が見られた。因子別に見ると、

・持続性:「愛情にもメリハリが必要である(高群70.8%/低群82.9%)」「子どもを早く自立させるため、できるだけ手助けしないほうが良い(高群15.2%/低群26.7%)」などの設問において、高群よりも低群の反応率が有意に高く、問題意識(問題なし=1,問題あり=4の4段階評定)では「子どものしつけは、専門家である保育園に全面的に任せること(高群3.7/低群3.4)」「自分のスタイルを維持するため、母乳を早めに止めること(高群3.3/低群3.0)」などで、低群は”問題ない”と回答する傾向が高い。子どもが乳幼児気であっても、母親自身の生活を優先する傾向が見られる。

・価値性:「小さい頃から、悪いことは悪いとしっかりしつけている(高群87.1%/低群96.0%)」「子育ては自己犠牲である(高群6.0%/低群15.3%)」「子育ては理性的に行うものである(高群22.%/低群37.8%)」の設問において、低群の反応率が有意に高く、義務的に子どもと関わっている傾向がうかがえる。

・存在性:「…中略…子育てにはあまり手をかけない(高群43.6%/低群67.0%)」の設問において、低群の反応率が有意に高い。子育てに対して、積極的な関与が低く、子どもとの関わりを避ける傾向が見られる。

・情緒性:問題意識において「抱っこやおんぶは疲れるので、室内でもベビーラックなどを常に利用すること(高群3.2/低群2.8)」「…中略…数回分溜まるまでおむつを取り替えないこと(高群3.4/低群3.1)」「…中略…便利な市販の離乳食を常に利用すること(高群2.8/低群2.5)」「…中略…自分の生活が大切なので2人目をつくらないこと(高群2.8/低群2.4)」などで、低群は”問題ない”と回答する傾向が強く、子育てに対して、消極的な姿勢がうかがえる。

以上の結果から、”母子の絆”のイメージは、世代間による構造的な変化は少ないこと、および因子の特性が子育て意識、態度と強い関連性が明らかとなった。今後、継続して父親を対象とした同様の調査、もしくは「親子の絆」「父子の絆」イメージを調査し、今回の結果とを比較することで、親子3人を視野に入れた、より実態を反映した調査結果が得られると思われる。

(KUNIEDA  Toshihiro,TERANISHI Mieko, YAMASHITA Fumiyo)

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