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研究活動

「タチウオ購入者の購買行動と心理」

國枝俊弘(㈱シタシオンジャパン)

1.調査の目的と方法

消費者ニーズに沿ったより価値の高いタチウオやタチウオ加工製品を提供するために,消費者のタチウオの消費状況や意識を明らかにすることを目的に、福岡県・大分県在住の20歳以上の男女で「1年以内」にタチウオを購入したことがある人1000名に対して、タチウオに関するインターネットアンケート調査を行った。調査期間は、2013年2月28日~3月11日とした。

2.調査結果

1)現在の魚介類全般の食事状況
自宅で食している魚の頻度について聞いたところ、魚介類全般については「週1回以上」が46.0%で最も高く、平均すると年33.6回程度食していることになる。個々の魚でみると最も平均回数が高いのは「さけ」(24.2回/年)、ついで「さば」(22.0回/年)、「あじ」(19.5回/年)とつづく。タチウオは11.3回と月に1回食べる程度で、「たい」と同程度の回数であった。また今回調査した11種の魚のなかでタチウオより回数が少ないのは「かれい」、「ひらめ」のみであった。

図1. 魚の食用頻度平均(回/年)

図1. 魚の食用頻度平均(回/年)

タチウオを食している頻度で「月に2~3回以上」を「(タチウオ食用頻度)高群(N=182)」、「半年に1回以下」を「低群(N=221)」とし比較したところ、高群のタチウオの年間食用回数平均は32.3回とさけについで2番目に高い。また高群のタチウオ以外の魚の平均値をみると全ての魚で平均値は全体を上回っているが得点順位はタチウオを除けばほぼ変わらない。このことから高群は「魚全般をよく食する特にタチウオを食べる人」といえる。一方、低群については全ての魚で平均値は一律低いものの得点順位はタチウオを含め全体とほとんど変わらなかった。
購入頻度の変化を聞いたところ、魚介全般について、71.7%が「あまりかわらない」と回答しており、個々の魚についても60%以上が「あまりかわらない」と回答している。ただし「以前よりも購入が増えた」「どちらかというと以前よりも購入が増えた」の合計と「どちらかというと以前よりも購入が減った」「以前よりも購入が減った」の合計の差分でみると、魚介全般は「増えた」の方が10ポイント以上高いが、質問した11種の魚の内、7種類は「減った」の方が多く、「さけ」「さば」「ブリ」以外は相対的に減ったと感じていることを示唆している。タチウオは「増えた」が9.5%に対して「減った」が13.5%と4ポイント高い。

2)タチウオの購入場所と購入時の重視点
鮮魚の購入場所はほとんどが「スーパー」で、24.1%が「週3回以上」スーパーで購入していると回答しており、「週1回以上」まで含めると82.2%となり、ついで高い「鮮魚店」(12.4%)と大きな差が見られた。
購入時の重視点では、「とても重視する」の反応率は「鮮度」が68.2%と最も高く、ついで消費期限(36.7%)、価格(35.3%)とつづき、素材の活きの良さを重視していることが分かる。(タチウオ食用頻度)高群と低群をみると高群はより「鮮度」「消費期限」を重視する傾向と同時に「価格」よりも「産地」や「旬」を重視しているのに対し、低群は「鮮度」の次に「価格」が高く、その一方で「単価」はあまり気にしていないことから、見かけの売値を重視していることが推測される。

図2. 鮮魚購入時の重視点(「とても重視する」のみ)

図2. 鮮魚購入時の重視点(「とても重視する」のみ)

タチウオの主な調理方法は、全体では「焼き魚」が77.8%で突出して高く、ついで「煮魚」(23.7%)、「刺身」(23.3%)と続く。高群・低群ともに重視点の順位は全体と変わらないが、「焼き魚」の値は高群・低群間での差は見られないが「刺身」では高群が28.0%と低群よりも12.6ポイント高く、また「煮魚」も29.7%と6.7ポイント高いことから、高群はタチウオを焼き魚だけでなく刺身や煮魚にも調理している傾向が明らかとなった。

図3. タチウオの主な調理方法(複数回答)

図3. タチウオの主な調理方法(複数回答)

3)タチウオのイメージ
タチウオを含め11種の魚のイメージを聞いたところ、「タチウオ」は、「味が良い」が58.2%と11種の魚のなかで最も高いものの、その他ポジティブイメージの項目で他の魚と比較して上位にあるものはなく、ついで順位が高いのは「食べやすい」(37.0%)、「調理しやすい」(29.3%)で、11魚中5位である。反対に「安価」(11.5%)、「手に入りやすい」(18.7%)は相対的に低い。一方、ネガティブなイメージの「臭う・生臭い」は3.1%と11種の魚の中で最も低い。イメージ項目でのコレスポンデンス分析で同様の傾向が見られ,またマップを見ると「タチウオ」とイメージが似ているのは相対的に「かれい」といえる。

図4. イメージ項目のコレスポンデンスマップ

図4. イメージ項目のコレスポンデンスマップ

その他イメージ項目の中では「手に入りやすい」も18.7%と他魚より低い傾向が見られるが、タチウオの購入時期を聞いた設問では、回答者の66.9%が「特定の(購入)月はない」と回答しており「手に入りにくい」は時期の問題ではなく価格の問題と推測される。ただし高群のみの場合、やはり「特定の月はない」が最も多いものの、12-2月の冬場と7月の夏場の2つの時期に購入が高くなる傾向が見られるため、まったくいつでも入手できる(しやすい)わけではないと思われる。
タチウオ購入意識に関する設問では高群でも「タチウオが販売されなくても特に困らない」では46.7%が「あてはまる」「ややあてはまる」と回答しており(他の魚との比較データはないが)消費者にとって必要不可欠な魚とは認識されていない結果となった。

3.おわりに

全般にタチウオは「生臭くなく、調理しやすく、何より美味しいが、安くない」というイメージを持たれている。そしていつでも購入できるためか、特別感が低く、美味しいと評価されているが、「たい」のようにお祝いごとに使う魚と強く思われているわけではない。調理方法についても焼き魚が一般的であるが「焼き魚と言えばタチウオ」と言うほど定番でもないため「タチウオが販売されなくても特に困らない」と認識されているのかもしれない。一方でタチウオ食用頻度高群の回答傾向からすると、煮魚、刺身にしても美味しく、小骨も少ないので食べやすくまた調理しやすい魚である。
このことから、今後、消費者の購入意向を喚起させるには、時期や地域などの特別感を強調することが効果的だと思われる。例えば1)旬と鮮度を強調することで、「多少高くても今が買い時」と感じさせる。2)何かしらイベントや昔の風習などと連動させ「お祝い事や、ちょっといい日・特別な日にはタチウオを食べる」というイメージの関連付けを行う。また食べやすさや調理しやすさをも加え3)(お勧めの調理方法を質問した際、比較的多く見られた)”生姜を使って甘辛く煮たもの”など焼き魚以外の調理方法や地域性の高い料理をアピールする。4)魚の食べ方、料理の仕方、美味しさを学ぶのに有効な食材、つまり子どもの時こそ食べて欲しい魚であることを提案する、などが有効であると考えられる。

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